2022年3月10日号 第342号

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 古書市&古本まつり 第110号
      。.☆.:* 通巻342・3月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

古本屋四十年(Ⅲ)

                古書りぶる・りべろ 川口秀彦

 横浜希望丘から吉祥寺へ店を移した時に、意図して変えたものが
ある。店の呼び方、看板を「古本りぶる・りべろ」から「古書りぶ
る・りべろ」としたのだ。ヨーロッパ風の本当の発音でいうと、ス
ペイン語にしろイタリア語にしろリーブル・リベーロと長音の入る
ものを、あえて言葉遊びのように音引きをなくし、柔らかく見せよ
うと平がな表記にした「りぶる・りべろ」という店名は、開業当時
に東急東横線に自由書房という本屋があって、重複を避けて同じ意
味の欧風屋号にしたものだ。何の商売だかすぐに判るように頭に
「古本」をつけたが、読みずらい、呼びずらいという、あまり評判
の良い屋号ではないことは知っている。「古本」と「古書」につい
ての私のイメージだが、古本はリユース本、セコハン本で、刊行時
の新刊定価より安く売買するもの、古書は多少ともプレミアムのつ
く本という、大ざっぱな区別をしている。横浜の住宅地から、街は
ずれとはいえ東京の繁華街に移ったのだから、今までよりはプレミ
アム本の取り扱いに力を入れようと思ったのだ。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8984

━━━━━━━━【シリーズ 古本の読み方5】━━━━━━━━

古本読書史と古本に飽きたときの展開法(古本の読み方5最終回)

                           書物蔵

最後は古本の読み方、というか、それを少し広げて「使い方」「楽
しみ方」の歴史をざっと概観して、古本に飽きた時の対処法につな
げてみたい。
■明治まで本は「借りる」ものだった
 学者や支配層、豪商はともかく、江戸時代の庶民にとって本は
「買う」ものではなく、「借りる」ものだった。
 江戸中期に商業出版が成立し、「本屋」で新刊書も買えるように
なるのだが、その新刊部数は1000部も刷ればそれはベストセラー扱
い、発行部数は少ないため単価も高く、八犬伝(1815-1842)といっ
た読み物であっても揃いで現在の1万円以上はした。
 江戸時代、寺子屋などで大都市の庶民も読み書きができるように
なったので(農村だと地主層は読めたが庶民はまだ読めない。ルビ
ンジャー、川村肇訳『日本人のリテラシー』 柏書房、2008を参照)、
本をデリバリーの貸本屋から借りて読んでいた。
 明治になり公共の「書籍館」(図書館のこと)も設置されたが、
明治末になるまで各地に広がらず、文化の都・東京でさえ3館
(帝国図書館、大橋図書館、教育会図書館)しかなかったが、ちゃ
んと「高等貸本屋」で硬い本も借りられたのだった。だから、明治
中頃までの「読書術」の本には、本の買い方が書いていない。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=9009

書物蔵
本格的古本歴は15年ほど。興味は日本図書館史から近代出版史へ
移行し、今は読書史。
共書に『本のリストの本』(創元社、2020)がある。

ツイッター
https://twitter.com/shomotsubugyo (2009年~)

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「第 61 回東京名物・神田古本まつり☆青空掘り出し市ワゴンセール」

本年は、恒例の“千代田さくらまつり”は開催されない運びとなり、
神田古書店連盟主催の第 61 回神田古本まつり青空掘り出し市として、
3月17日(木)~3月21日(月・祝)の5日間、靖国通り・岩波会場にてワゴ
ンセールを行うこととなりました。3連休を含む5日間の開催です。
未だ情勢は不安定なままですが、感染対策を万全にした上で、ぜひ皆
様のご来場をお待ちいたしております。※コロナウイルス感染症の蔓
延状況が悪化した場合、開催中でも古本まつりを中止することがあり
ます。

☆青空掘り出し市ワゴンセール☆
3月17日(木)~3月21日(月・祝)午前10時~午後6時(最終日午後 5 時)
会場:【岩波外会場、岩波中会場、靖国通り会場】
https://jimbou.info/news/20220125.html

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「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

ノースブックセンター
所沢紹介
所沢設営

YouTube 東京古書組合
https://www.youtube.com/channel/UCDxjayto922YYOe5VdOKu9w

━━━━━【3月10日~4月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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第12回 戸田書店 古本・古書フェア(群馬県)

期間:2022/02/04~2022/03/13
場所:戸田書店 高崎店 高崎市下小鳥町438-1

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フジサワ4階古書フェア (神奈川県)

期間:2022/03/03~2022/03/16
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場

http://www.yurindo.co.jp/store/fujisawa/

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第184回神戸古書即売会(兵庫県)

期間:2022/03/11~2022/03/13
場所:兵庫県古書会館 神戸市中央区北長狭通6-4-5(阪急花隈駅西口真裏の通り)

https://hyogo-kosho.com/kamei/

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紙魚之會

期間:2022/03/11~2022/03/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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西部古書展書心会

期間:2022/03/11~2022/03/13
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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3月反町古書会館展(神奈川県)

期間:2022/03/12~2022/03/13
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第61回神田古本まつり青空掘り出し市☆ワゴンセール

期間:2022/03/17~2022/03/21
場所:神田神保町古書店街(靖国通り沿い・神保町交差点)

https://jimbou.info/

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ABAJ 国際稀覯本フェア2022 -日本の古書 世界の古書-
Tokyo International Antiquarian Book Fair 2022, ABAJ

期間:2022/03/18~2022/03/20
場所:東京交通会館展示会場12F カトレアサロンA・B 千代田区有楽町2-10-1

http://abaj.gr.jp/special/2022/index.php

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趣味の古書展

期間:2022/03/18~2022/03/19
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.tokyo

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第5回 春の混陽古本まつり(兵庫県)

期間:2022/03/19~2022/03/27
場所:イズミヤ混陽店 地階催事場  兵庫県伊丹市池尻1-1

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新橋古本まつり

期間:2022/03/21~2022/03/26
場所:新橋駅前SL広場

https://twitter.com/slbookfair

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第99回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2022/03/23~2022/03/28
場所:岡山シンフォニービル1F  自由空間ガレリア

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2022/03/24~2022/03/27
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)

https://twitter.com/urawajuku

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第9回 小倉駅ナカ本の市(福岡県)

期間:2022/03/25~2022/04/03
場所:小倉駅ビル内・JAM広場 (JR小倉駅 3階 改札前)

https://twitter.com/zCnICZeIhI67GSi

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和洋会古書展

期間:2022/03/25~2022/03/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田遊古会

期間:2022/03/25~2022/03/26
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4
   JR山手線、東急池上線、都営浅草線五反田駅より徒歩5分

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中央線古書展

期間:2022/03/26~2022/03/27
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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西武本川越PePeのペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2022/03/31~2022/04/12
場所:西武鉄道新宿線 本川越駅前ペペ広場

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青札古本市

期間:2022/03/31~2022/04/03
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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下町書友会

期間:2022/04/01~2022/04/02
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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書窓展(マド展)

期間:2022/04/08~2022/04/09
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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平井のはみだし古本市

期間:2022/04/09~2022/04/17
場所:平井の本棚 2階 江戸川区平井5-15-10(JR総武線・平井駅北口改札より徒歩30秒)

https://kosho-hanautadou.peatix.com/

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大均一祭

期間:2022/04/09~2022/04/11
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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アクロスモール新鎌ヶ谷古本市(千葉県)

期間:2022/04/12~2022/04/20

場所:アクロスモール新鎌ヶ谷 1F 中央エレベーター前・中央エスカレーター前
   千葉県鎌ケ谷市新鎌ヶ谷2-12-1
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日本の古本屋メールマガジンその342 2022.3.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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2022年2月25日号 第341号

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☆INDEX☆
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1.周縁(マージナル)、路上(オン・ザ・ロード)から生まれた本たち
                       新宿書房 村山恒夫

2.生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて
                   長岡市立中央図書館 井口麻子

3.文京区立森鴎外記念館特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」開催中
                文京区立森鴎外記念館 岩佐春奈(司書)
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━━━━━━━━━【自著を語る(287)】━━━━━━━━━━━

周縁(マージナル)、路上(オン・ザ・ロード)から生まれた本たち
                      新宿書房 村山恒夫

 『新宿書房往来記』(港の人)、私の初めての本である。昔から本
ではなく出版社(出版者)そのものが話題になるのは、誕生の発足時
か倒産時といわれてきた。途中経過の本は「創業◯◯年」に刊行され
る社史のたぐいだろう。まして編集者が自社で本を出すことはまずな
い、あるとすれば本人が死んだ後の遺稿集の場合だろう。それはまさ
に「饅頭本(まんじゅうぼん)」だ。

 この本は鎌倉の出版社「港の人」から生まれた。私は2001年から新
宿書房のHPの片隅にコラムを書いてきた。この間、途中で7年間!も
休んだこともあり、実に気の向くままに書き散らしてきた。2019年1月
からほぼ週1回アップを目指すようになり、2020年の3月から始まった
コロナ禍以降も同じペースで書いてきた。本人は〈『週刊村山タイム
ズ』の地方通信局長〉のつもりだ。取り上げるテーマは当然、新宿書
房に関連する本や亡くなった関係者の思い出話が多かった。しかし、
できるだけ新聞などに取り上げられた事象に関連する本の話を書いて
きたつもりだ。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8877

『新宿書房往来記』 村山恒夫 著
港の人 定価:2,800円(税別)好評発売中!
https://www.minatonohito.jp/book/401/

━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━━

生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて
                長岡市立中央図書館 井口麻子

 長岡の図書館において三大恩人はと聞かれると、大正7年に互尊
文庫を開館し運営資金も含めて寄附した実業家野本恭八郎。空襲で
焼失してしまった互尊文庫の復興を願い昭和23年に再建資金を寄附
した繊維商内藤伝吉。そして昭和51年から図書館の資料の充実に
向けて、数多くの郷土資料を長岡に納めた反町茂雄氏(以下反町)
を挙げている。

 反町は新潟県長岡市出身、東京で古書肆弘文荘を営んだ。古典籍
を多く扱い古書業界の育成だけでなく、大学、図書館、研究機関の
蔵書構築に貢献した。反町が寄附した掛軸・錦絵・古文書などの資
料を中心にした反町茂雄文庫は長岡の図書館を構成する大きな核の
一つである。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8484

生誕120年・没後30年 反町茂雄文庫展
https://www.lib.city.nagaoka.niigata.jp/?page_id=672
※文庫展、各イベントは終了しています

●生誕120年・没後30年「反町茂雄文庫展」
 ~伝説の古典籍商がふるさと長岡に贈った郷土資料~
 https://youtu.be/X9NAY0G4PnU

●生誕120年・没後30年「反町茂雄文庫展」関連イベント
 オンライン座談会「古書肆弘文荘 反町茂雄さんの想い出」
https://youtu.be/Kt6joaq65-A

━━━━━━━━━━【プレゼント企画1】━━━━━━━━━━━

生誕120年・没後30年 反町茂雄文庫展の関連イベント
『長岡市史双書を読む会「古書肆弘文荘・反町茂雄と長岡」』で用いられた
テキスト『古書肆弘文荘・反町茂雄と長岡 『反町茂雄文庫目録』第2集(補遺)』を、
抽選で5名様にプレゼント致します。ご応募お待ちしております。

応募申込は下記ページにてお願い致します。
 締切日 2月28日(月)午前10時

https://www.kosho.ne.jp/oubo2022/0225-1.html

━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━━

文京区立森鴎外記念館特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」開催中
              文京区立森鴎外記念館 岩佐春奈(司書)

 文京区立森鴎外記念館は、森鴎外生誕150年にあたる2012(平成24)年
に前身・文京区立鴎外記念本郷図書館より建物を改めて開館し、今年開館
10年を迎えます。当館が顕彰している森鴎外は、明治大正に活躍した作家
です。『舞姫』『最後の一句』など、その作品は教科書にも掲載されてい
ます。鴎外は、1862(文久2)年、現在の島根県津和野町に生まれ、1881
(明治14)年、東京大学医学部を卒業、陸軍軍医となり1916(大正5)年
まで勤めます。翌年、帝室博物館総長兼図書頭となり在職のまま、1922
(大正11)年、60歳で亡くなりました。今年生誕160年没後100年を迎えま
した。 記念年を機に、より多くの皆さまに鴎外に親しんで頂きたく大規
模な展示や講演会等の開催を予定しています。1つ目の特別展は「写真の中
の鴎外 人生を刻む顔」と題して開催中です。2022年、鴎外を様々な側面
から紹介していくにあたって、写真をとおして鴎外の顔を覚えていただき、
興味を持っていただきたいと考えました。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8834

文京区立森鴎外記念館
特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」
会期:2022年1月9日(日)~2022年4月17日(日)
https://moriogai-kinenkan.jp/

━━━━━━━━━━【プレゼント企画2】━━━━━━━━━━━

森鴎外記念館バッジ・シールを抽選で10名様にプレゼント致します。
ご応募お待ちしております。

応募申込は下記ページにてお願い致します。
 締切日 2月28日(月)午前10時

https://www.kosho.ne.jp/oubo2022/0225-2.html

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『第一藝文社をさがして』 早田リツ子 著
夏葉社 定価:2,750円(税込)好評発売中!
http://natsuhasha.com/news/2022119/

『古本スタイル 創刊1号』 書肆よろず屋刊
販売 古書善行堂 600円(税込)好評発売中!
http://zenkohdo.shop-pro.jp/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

2月~3月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジン その341・2月25日

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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古本屋四十年(Ⅲ)

古本屋四十年(Ⅲ)

古書りぶる・りべろ 川口秀彦

 横浜希望丘から吉祥寺へ店を移した時に、意図して変えたものがある。店の呼び方、看板を「古本りぶる・りべろ」から「古書りぶる・りべろ」としたのだ。ヨーロッパ風の本当の発音でいうと、スペイン語にしろイタリア語にしろリーブル・リベーロと長音の入るものを、あえて言葉遊びのように音引きをなくし、柔らかく見せようと平がな表記にした「りぶる・りべろ」という店名は、開業当時に東急東横線に自由書房という本屋があって、重複を避けて同じ意味の欧風屋号にしたものだ。何の商売だかすぐに判るように頭に「古本」をつけたが、読みずらい、呼びずらいという、あまり評判の良い屋号ではないことは知っている。「古本」と「古書」についての私のイメージだが、古本はリユース本、セコハン本で、刊行時の新刊定価より安く売買するもの、古書は多少ともプレミアムのつく本という、大ざっぱな区別をしている。横浜の住宅地から、街はずれとはいえ東京の繁華街に移ったのだから、今までよりはプレミアム本の取り扱いに力を入れようと思ったのだ。

 神奈川で組合に加入した頃に、東洋一のデパートを自称する横浜そごうが開業した。70年代後半から90年代の半ば、阪神大震災の頃までだったように憶えているが、デパートでの古書催事が盛んだった。横浜そごうも神奈川古書組合に呼びかけて86年から年二回、十数年間古書即売会をやっている。私は第3回から参加した。目録も出すデパート展は、それまで経験していたリユース本主体のスーパーでの催事と違ってプレミア本が売上げの主力なのを実感した。

 86年に市場と催事の双方を担当する事業部理事という組合の役職に就き、編集者経験を買われたのか、校正などを含む目録係の仕事をすることが多くなり、理事の任期が終ったあとも目録係と対外的な広報宣伝は長く任せられていた。おかげで、他店の目録原稿を読んでどういう本が目録向きなのか、どういうジャンルにどういうプレミアをつけるのかを学習できたようだ。見よう見まねだった私の目録頁も、落ち込んでしまっている現在から見ると倍以上の受注率があった。当時は受注率ではかなり上位に入れるようになっていた。だから店でもプレミア本、古書を売って売上を伸ばそうとしたのだ。

 広告の担当者として、大きな催事ごとに広告を出していた古書趣味誌『彷書月刊』とつきあうようになった。『彷書』は、専従の編集者は複数いるが編集長はなないろ文庫ふしぎ堂という現役の古本屋の田村治芳で、そのブレーンのように石神井書林の内堀弘、月の輪書林の高橋徹たちの古本屋が関わっていた。初期には創業者の一人、自游書院の若月隆一も企画などに関わっていた。『彷書月刊』は雑誌のあった25年間で神田猿楽町、西神田界隈、神田神保町と事務所を転々としているが、私はその三ヶ所とも訪ねたことがある。そんな『彷書』とのつきあいが私の吉祥寺から神田神保町への移転の時に活きてきた。

 吉祥寺の店はJR中央・総武線の高架下で、吉祥寺駅ビルと同じJR東日本の子会社が管理していた。最初から最長9年しか貸さないという「臨時貸借契約書」というかなり厚い書類に判子を押させられていた。8年目になった頃に管理会社から複数回呼び出しを受け、駅ビル本体へ転出するか退去しかないという話をされた。家賃が二、三倍する吉祥寺駅ビルへの転出というのは、こちらが受けるわけがないことを見越しての提案でしかなく、移転先を本気で捜すようになった。神奈川へ戻ることも検討していた時に『彷書』の編集長のななちゃん(多くの知りあいがこう呼んでいた)が良い場所があると言ってきた。『彷書』の事務所の近くの非組合員の古本屋が閉店するので、後釜に入らないかという話だった。時代小説専門の古本屋海坂書房で、私も入ったことのある店だった。十年ほど頑張っていたと思うが、専門特化しているのに自給自足だけ、組合の古書市場を使わないというので、仕入れ、品揃えに無理が来ていたのだろう。『彷書』は古本屋であれば非組合員でもつきあっていたので、色々な情報を持っていたのだ。ななちゃんの紹介で海坂書房と話をし、ビルの持主とも会って私が後に入ることになった。海坂とすれば丸善製のスチール本棚の撤去費用が不要になり、私は逆に棚の設置費用がかからないという、お互いにメリットのある交替だった。ちなみに、その丸善の鉄製の棚は私の神保町店閉店直後に神奈川厚木から埼玉のジョンソンタウン跡へという、米軍基地関連の場所が好きなのかと思わせる移転をした若手の古本屋逍遥館が引取ってくれたので、まだまだ本棚の形で使われているはずだ。神保町店のビルオーナーが、古本屋に二十年以上貸しているので、次は違った業種に貸したいということで、完全撤去を求められたのだ。

 吉祥寺の店で、希望丘の時より広くなった分を新品で補った丸善スチール棚は、現在は知り合いの出版社の倉庫の棚になっている。希望丘の店を満たしていた手作り木製本棚はすべて吉祥寺で使い、その一部を神保町の店、そして現在の倉庫へと使い続けているが、大半は吉祥寺閉店の時に解体して廃材として処理した。手作りでも三十年近く使ったから惜しくはなかったが、鉄製の棚は新品時の価格が高いこともあり、なかなか廃棄する気にならないのは、古本屋らしいリユース癖なのだろうか。

 棚だけではなく私の店ではガラスケース(ショーケース)を使っていて、これは古書市場に出品して他の本屋に買ってもらった。希望丘の時は洋品店の跡に入ったのでショーウインドウのある古本屋だった。見映えの良い高額品はそこに展示していた。吉祥寺の時からガラスケースを導入、神保町でも同じようにプレミア本をそこに陳列して、「古書店」という感じを出していた。

 私は当初「街の古本屋」を貫ぬこうという志向があった。吉祥寺だけでなく、神保町でもその感覚のある古本屋でいたいという気持ちはあった。街の古本屋とは、私の考えでは、地元住民のニーズになるべく応えられるように、ある程度は幅広いジャンルを扱う地元密着型の店ということである。新刊書店員育ちのせいか、いま消えつつある「街の新刊書店」の古本屋版といえるものを志向した。私の開業一年後に新刊で出た『街の古本屋入門』では定義されていたかどうか忘れたが、街の古本屋というのはなかなか良い視点だと思った。専門化した領域へ進むための入門篇やその次のステップあたりまでが街の本屋・古本屋の担える範囲だろうし、私にはそれ以上の能力はなかった。

 吉祥寺の時から店の主要な取扱い分野として近現代詩歌、幻想文学、幻想美術、社会思想、社会運動あるいは肉筆草稿書簡類などをチラシや名刺には掲げているが、それ以外にも書道関係とか映画、演劇、近代文学初版本などもかなりの冊数を置いていた。神保町では海坂書房の後ということで時代小説もある程度は並べていた。専門化した店ではない、街の古本屋らしいというのはそういう店のことでもあると思っている。

 ブックオフなどの新古書店は、私から見ればある意味では街の古本屋の進化形に思える。彼らの特色は明るくキレイな店、売買価格が明確な店というだけでなく広いことでもあるのだが、その広さがジャンルを問わない幅広い品揃えを可能にしている。街の新刊屋のような品揃えを、そのままリユース本として再現できているのだ。今までの古本屋は、たとえばビジネス書などの類は古本としては扱ってこなかった。新刊店員をしていてはっきりと知ったのだが、新刊には年々新しい本が出されて過去に出されたものがすぐに売れなくなる分野もあれば、同じものが長く求められる分野もある。たとえばビジネス書は発行時での需要は多くても商品としての生命力は短かいものが多い。文学書、哲学書は逆のものが多い。新刊書店では出版社、取次から配本されたものを内容は問わず新刊として陳列するが、刊行年次(本の美汚は別として)のみで本の価値を判断する新古書店の棚づくりは、新刊書店のようで新刊屋よりも内容を勘案しているわけではない。とにかくオールジャンルの本があるから、旧来の古本屋が陳列できなくて捨てていたジャンルの本の客がついたのだ。広さの勝ちといえるだろう。生業的な狭い古本屋では、回転率の良い文庫、マンガ、エロ本や見ばえがして回転率の悪くない本が主力商品であって、特価本の地図などはともかく、回転率が悪く、商品としてすぐに生命力のなくなるビジネス書などは、いくら買取値を安くしても扱おうという気にならない分野だったのだ。


①向かいから見た前景。看板が「古書」になっている。

②店内に入ってすぐの雑誌棚。奥は丸善製のスチール棚。

③ガラスケースと壁面展示のスペース。

いずれも吉祥寺店開店当時の様子。

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古本読書史と古本に飽きたときの展開法(古本の読み方5最終回)

古本読書史と古本に飽きたときの展開法(古本の読み方5最終回)

書物蔵

 

 最後は古本の読み方、というか、それを少し広げて「使い方」「楽しみ方」の歴史をざっと概観して、古本に飽きた時の対処法につなげてみたい。

■明治まで本は「借りる」ものだった
 学者や支配層、豪商はともかく、江戸時代の庶民にとって本は「買う」ものではなく、「借りる」ものだった。

 江戸中期に商業出版が成立し、「本屋」で新刊書も買えるようになるのだが、その新刊部数は1000部も刷ればそれはベストセラー扱い、発行部数は少ないため単価も高く、八犬伝(1815-1842)といった読み物であっても揃いで現在の1万円以上はした。

 江戸時代、寺子屋などで大都市の庶民も読み書きができるようになったので(農村だと地主層は読めたが庶民はまだ読めない。ルビンジャー、川村肇訳『日本人のリテラシー』 柏書房、2008を参照)、本をデリバリーの貸本屋から借りて読んでいた。

 明治になり公共の「書籍館」(図書館のこと)も設置されたが、明治末になるまで各地に広がらず、文化の都・東京でさえ3館(帝国図書館、大橋図書館、教育会図書館)しかなかったが、ちゃんと「高等貸本屋」で硬い本も借りられたのだった。だから、明治中頃までの「読書術」の本には、本の買い方が書いていない。

■古本なら半値だから買えば――明治末
 明治末になってようやく、古本なら新刊の半値だから買えば、と言われるようになった。「資力豊かならざる読書家が、僅少の資を投じて読むに価する書籍を購求せんとす。之れ頗る困事なりと雖も、世は便宜なるものにて古本商あり」(横田章著, 大町桂月校『読書力の養成』広文堂, 1909. p.57)。

 一方で雑誌の部数が増えた明治30年ごろから新刊雑誌の「月遅れ」が市中に出回りはじめ(定価の3割くらい)、大正期の庶民はそれらを買うようになっていった(同時に「雑誌回覧会」も大規模に成立して新刊書店と揉めている)。

 「本を買う」ことが「新刊書を買う」意味になりはじめたのは、やはり、初刷部数が万単位となった「円本」ブーム(1926-ca.1929)からだろう。それまで、庶民が本を買う場合、絵双紙屋で軟派系の本を買うか、古本屋や露店で古本を買っていた。古本を買う目的は何より、安いからだった。

■安い本から珍しい本へ
 しかしここに古本を「安いから」でなく「古いから」買う人達が現れる。「珍書家」「珍書持」という人たちである(水谷不倒『古書の研究』駿南社、1934、p.15)。

 『古本年鑑(昭和8年)』(古典社、1933)に載っている全国古本屋リストは、和本屋と洋本屋にわける印が付けられている。これは単に安く買いたい人と、古い和本・珍本を買いたい人がお店を選べるようにしたものだ。これはちょうど平成期に、ブックオフ=安い本、街の古本屋=古い本、と考えられるようになったのと同じ図式だ。戦前期の古本趣味を書いた河原万吉『古書通』(四六書院、1930)に出てくる「古本」は、基本的に崩し字の和本(和装本)である。

■古本マニアの発達段階
 なにが言いたいかというと、日本人の古本を求めるニーズが大きく、安いもの→珍しいものに発展したように、個人が古本を求めるニーズも同じく、安いものから(自分にとって)面白いものへと変わっていくのではないか、ということだ。

 南陀楼綾繁『古本マニア採集帖』(皓星社、2021)を見ると、一見普通の人から濃ゆいマニアまで、いろんな古本マニアが紹介されている。もちろん古本趣味のバラエティは幅広いのだが、実は特定個人の中でも、時期によって趣味の熟成度というか、発達段階というのもあるのではないかと思う。たとえばこんな。

ステップ1(普通の本好き):古本屋で安い本を買う
ステップ2(古本初心者):古本屋で懐かしい本を買う
ステップ3(マニア入門):古本屋で特定主題の古本を買う
ステップ4(立派なマニア):古書目録(古書販売サイト)で古本を買う
ステップ5(ディープなマニア):手段を問わず古本を買う
ステップ6(達観期):全体像がわかった気分になるのであまり古本を買わなくなる

■いつまでも楽しむためには――メディア形態をずらす
 ステップ(古本病?)が進んだほうがいいというわけでもなくて、だいたい一番楽しいのは、ステップ3から4のあたりかと思う。自分にとっての面白さ(新奇性)に目覚めたあたりが、新しい世界が開けた感じがして楽しいものである。私の場合、関連書籍を集め切って、一段落したあと、古本マイブームが再燃したのは、雑誌を集め始めた時と、絵葉書を集め始めた時だった。そこから考えると、古本に飽きた場合には、集める主題は同じでも、媒体を単行本から雑誌へ、あるいは紙ものなどへズラしてみると、ステップ6から3に戻ることができ、また楽しめるのではないかと思う。

■古書会館の週末古書展で意外な発見をする方法
 これはステップ3あたりの人におすすめしたいが、東京なら神保町、五反田、高円寺の業者用古書会館で週末、古本マニア向けに開催される週末古書展に行くといいだろう。今どき入場時にカバンを預けるという古風なことをしているが――十年前まで高円寺では下足をとったくらいだ――それにめげずに飛び込むと、古本趣味が広がると思う。

 理由は2つあって、一つは、週末古書展での本の並びが、主題別でも形態別でもなく、お店別。これが意外といい。結果として古本の出どころ別になっており、これが図書館でも新刊書店でも不可能な独自配列で勉強になるのだ。前にその本を使っていた人の文脈が部分的に保存されているんよ。 

 その文脈を釣り上げるには、まず自分の知っている本、興味のある主題の本を見つけ、その周りの本を見る。すると、情報検索や主題書誌では絶対に見つからない意外な、けれど関連する面白い本が見つかるはずである。一般の古本まつりに出品されないような特殊な濃ゆい本が週末展だと出品されるということもある。

 あと、週末展だと立ち読みをしやすいこともある(コロナ禍中はなるべく短くすべきだが)。店頭よりじっくり古本が選べる寸法だ。ただし、古本というのは基本、一期一会なので「買わない理由が値段なら買いなさい」と言われていることをお忘れなく。そういえば4月創刊の『近代出版研究』(皓星社発売)なる雑誌に、前代未聞の「立ち読み」の歴史が載るんだった。

■書くことを始めると沼にはまる?
 さらに、同人誌やジンなどに集めている古本の題材で何か書くと、読みが深くなって、よく読めるようになる。これは自分でも不思議なことで、書くと読むは連動している部分があるようだ。私も『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』(品切れ)という同人誌に協力してわかった。ちょっとした在野研究といった具合。それでお仲間などができると楽しいし、趣味としても良いのではないかと思う次第。古本収集家のサークルがかつていくつかあったらしいが、私もいつのまにか古本フレンズができてコロナ禍以前は毎週末、古書展がえりに行きつけの店で談論したものだった。みなさんも大いに古本を楽しんでくだされたく。



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本格的古本歴は15年ほど。興味は日本図書館史から近代出版史へ移行し、今は読書史。
共書に『本のリストの本』(創元社、2020)がある。

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周縁(マージナル)、路上(オン・ザ・ロード)から生まれた本たち

周縁(マージナル)、路上(オン・ザ・ロード)から生まれた本たち

新宿書房 村山恒夫

 『新宿書房往来記』(港の人)、私の初めての本である。昔から本ではなく出版社(出版者)そのものが話題になるのは、誕生の発足時か倒産時といわれてきた。途中経過の本は「創業◯◯年」に刊行される社史のたぐいだろう。まして編集者が自社で本を出すことはまずない、あるとすれば本人が死んだ後の遺稿集の場合だろう。それはまさに「饅頭本(まんじゅうぼん)」だ。

 この本は鎌倉の出版社「港の人」から生まれた。私は2001年から新宿書房のHPの片隅にコラムを書いてきた。この間、途中で7年間!も休んだこともあり、実に気の向くままに書き散らしてきた。2019年1月からほぼ週1回アップを目指すようになり、2020年の3月から始まったコロナ禍以降も同じペースで書いてきた。本人は〈『週刊村山タイムズ』の地方通信局長〉のつもりだ。取り上げるテーマは当然、新宿書房に関連する本や亡くなった関係者の思い出話が多かった。しかし、できるだけ新聞などに取り上げられた事象に関連する本の話を書いてきたつもりだ。

 2019年の夏のある日、長い付きの合いのある鎌倉の出版社「港の人」社主の上野勇治さんが、当時九段下にあった事務所にやってきた。
「村山さんが書いてきたコラムを本にしませんか。」ほんとうにびっくりした。うれしい話ではあったが、同時に不安もあった。本当に自由に気ままに、だれに向かって書いているわけでもなく、あちこちに寄り道しながら、本にまつわることを調べ、記し、フラフラと書き続けてきたコラムなのだ。HPのコラムは簡単に画像を貼れるし、関連サイトに飛ばせる。私の癖でもあるが、話題が広がり横に飛ぶ。どうしても画像、サイトにたよる文章を書くことになる。

 文字だけで果たして1冊の本になるのだろうか。企画を考える小出版社としても、あるいはひとりの編集者としても心配になった。しかし、上野さんの熱心な誘いがあり、この温かいうれしい提案を受けることにした。すべての構成・編集を港の人の上野勇治さん・井上有紀さんご夫妻におまかせすることにした。まさに「船頭(編集者)は二人はいらない」のである。

 上野さんの提案がうれしかったのだろう。その年、2019年の年末の忘年会でこの単行本の話が進んでいることを、仲間のみんなの前でつい呟いてしまった。

 2020年に入ると、HPのコラム以外に新聞・雑誌に書いた文章などのコピーを探し出して、上野さんに送った。そして何度かやりとりをした。2021年7月のはじめ、上野さんから遅くなりましたと連絡があり、ほどなくHPのコラムから選んだプリントの大束が送られてきた。コラム「三栄町路地裏だより」(63本)「俎板橋だより」(129本)の中からと、新聞・雑誌に書いた原稿の中からいくつかが選ばれていた。ちょうど7月から事務所は九段下から中野の白鷺にある茅屋の2階に移っていた。

 そして、7月16日に、上野さんは進行・編集についての相談のために、はるばる鎌倉からこの事務所までやってきてくれた。上野さんは巻末にぜひ「新宿書房刊行書籍一覧」をおきたいと言う。さっそく、編集部の加納さんが、発売元になった本をのぞく全リストを作ってくれた。これは緩く並んでいるエッセイ群を締める横軸となるはずだ。

 つねづね「人名・事項索引、関係年譜もない本は本ではない」などと言ってきた私だが、この本にはあえて人名・事項索引、関係年譜をお願いしなかった。この本が包括的な出版社の会社誌ではない、結果として、光と影のうち、光の部分のみが表に出たことになる。この本に登場していない人物や書籍もたくさんある。またいい話ばかりでない、影の部分、トラブル、ケンカもあった。2度と思い出したくない事も、会いたくない人もふれていない。しかし、本書を読んだ読者が、新宿書房のまだ見ぬ部分、歴史の余白をかすかにでも感じることができたら、これはある意味、成功したことになる。

 それから間もなく8月5日には、ついに8章のテーマに分けられ、45本のエッセイとなった初校ゲラが送られてきた。もちろん写真・画像はない。集め本ではあるが、松本昌次さんの標榜する「単行本編集主義」に倣う、見事な編集(原稿ではない)ではないか。そして、再校、三校、念校と進み、10月20日に、上野さんに責了紙をお返しした。
港の人は書名にもこだわった。わたしの奇想天外なタイトル案の希望は却下され、『新宿書房往来記』になった。いまはこの書名に私も大いに気に入っている。新宿書房の本が、中心(センター)でなく周縁(マージナル)は路上(オン・ザ・ロード)などの往来から生まれてきたことを読者に伝えたかったのだ。

 2021年の12月8日、いよいよ港の人から見本が送られてきた。装丁は長田年伸さん、挿画はベラルーシ出身のニアさん。これがすこぶる評判がいい。刊行から、2ヵ月が経った。ありがたいことに早くも紹介、書評の記事が出て来ている。『新文化』『毎日新聞』(今週の本棚)、『映画芸術』(岡村幸宣さん)、『東京新聞』・『中日新聞』(宮崎正嗣記者)、『サンデー毎日』(平松洋子さん)、『夕刊フジ』などなど。最後に嬉しいご報告をしたい。この本が発売と同時に、素晴らしい催しがおこなわれたことである。一つは神田・神保町の東京堂書店で開催された本書刊行記念「新宿書房祭」(2021年12月6日〜2022年1月17日)で、目を見張るカラーパネルの展示構成の中、好評裡に終了した。もうひとつは、くまざわ書店武蔵小金井北口店で開催されている「出版記念合同フェア新宿書房×港の人」(2022年1月17日〜3月末まで)だ。

 初めての本。本が誕生するまで著者だれでもが経験する至福の時間を過ごさせていただいた。版元の港の人のおふたりに、あらためて感謝したい。


『新宿書房往来記』  村山恒夫 著
港の人  四六判/上製本/本文344頁 
定価:2,800円(本体価格・税別)  好評発売中!
https://www.minatonohito.jp/book/401/

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2022年2月10日号 第340号

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 古書市&古本まつり 第109号
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

古本屋四十年(Ⅱ)

                古書りぶる・りべろ 川口秀彦

 古書組合に入ろうと決めたもう一つの大きな理由は情報が欲しい
ということだった。古本屋を含む古物商は、仕入値も売値も自分で
自由に判断できるという特殊な商売だが、それなりの相場、顧客が
納得する売買の目安というものは考えなければならない。私の場合、
店の営業は割に順調に伸びていたから、組合に入っていなくとも自
店の売買価格が間違ったものではないだろうとは思っていた。私た
ちのグループとほぼ同時期に、北海道や東海、中国地方でも、新刊
に近い本を新刊価格の一〜二割で買い、五割で売るという、後のブッ
クオフの先行形態のような非組合員の古本屋グループの営業が始まっ
ていたが、みんな同じような売値、買値の設定だったようだ。好き
なジャンル、得意なジャンルなどに多少のメリハリをつけた値付を
するところがブックオフ的な完全マニュアル型とは違うところで、
本という商品に対する愛好度やある程度の知識を前提として商売を
しているという自負が、その頃のアウトサイダー型の古本屋には共
通していたのかも知れない。私は、開業一年後に出た志田三郎『街
の古本屋入門』という、古本屋開業の初めてと言える実践的な手引
書を見て、基本的には合致していることを確認できて少し安心して
いた。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8031

━━━━━━━━━【シリーズ 古本の読み方4】━━━━━━

挟み込みを「読み」、その本の使われ方を想像してみる(古本の読み方4)

                           書物蔵

 前回はテキストの余分な部分(「ペリテクスト」という。序文や
跋文、あとがき、ルビや奥付)を読んでみた。今回は、テキストで
すらない余分、英語でいうマージナリア(余白への書き込み的なも
の)を読んでみよう。
■マルジナリアを読むと読者のことがわかる?
 テキスト自体を読み込むのも「分析書誌」だけれども、近年はテ
キスト以外の部分、「書き込み」や「挟み込み」を読む、という読
み方も開発されてきた。日本では古本マニアが十年ほど前、「痕跡
本」という言葉を広めたが(古沢和宏『痕跡本のすすめ』太田出版、
2012)、西洋書誌学では本の使用者による痕跡を「マルジナリア」
(余白)と呼ぶ。
 書き込みだけでなく「挟み込み」も同様に読むことができ、古本
同人誌『Sumus』7号「特集:古書にコミあり」(2001)は、書き込
みと挟み込みを総称して「コミ」としゃれていた。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8508

書物蔵
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移行し、今は読書史。
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

靖文堂書店
古本トロワ
古書ほうろう
股旅堂
西村文生堂

YouTube 東京古書組合
https://www.youtube.com/channel/UCDxjayto922YYOe5VdOKu9w

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━
◆「東京古書組合百年史展」 開催◆

場所 市立小樽文学館 無料展示スペース
日時 2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日)
時間 9時30分~17時(最終入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(1月10日を除く)
12月29日~1月3日、1月11日・12日、2月1日~4日
入場無料

ホームページ

http://otarubungakusha.com/exhibition/2021114096

━━━━━【2月10日~3月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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第5回 ジュンク堂 新春古書展(沖縄県)

期間:2022/01/29~2022/03/06
場所:ジュンク堂1F レジカウンター横  沖縄県那覇市牧志1-19-29

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有隣堂センター南駅店・港北古書フェア(神奈川県)

期間:2022/02/04~2022/02/18
場所:最寄駅:横浜市営地下鉄 センター南駅
   (市営地下鉄センター南駅の改札を出て直進、右前方 ※駅構内)

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

-------------------------------
第12回 戸田書店 古本・古書フェア(群馬県)

期間:2022/02/04~2022/03/13
場所:戸田書店 高崎店 高崎市下小鳥町438-1

-------------------------------
第8回 古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2022/02/11~2022/02/13
場所:京都古書会館3階  京都市中京区高倉通夷川上ル福屋町723番地

http://koshoken.seesaa.net/

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ぐろりや会※会場販売は中止となりました

期間:2022/02/11~2022/02/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://www.gloriakai.jp/

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2月反町古書会館展(神奈川県)

期間:2022/02/12~2022/02/13
場所:神奈川古書会館 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

-------------------------------
杉並書友会

期間:2022/02/12~2022/02/13
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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三省堂書店池袋本店 古本まつり

期間:2022/02/16~2022/02/23
場所:西武池袋本店 別館2F=特設会場(西武ギャラリー)
   東京都豊島区南池袋1-28-1

http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/events/6534

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フィールズ南柏 古本市※会期を変更しました(1/28)(千葉県)

期間:2022/02/17~2022/02/27
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

-------------------------------
浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2022/02/24~2022/02/27
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)

https://twitter.com/urawajuku

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城南古書展

期間:2022/02/25~2022/02/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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好書会

期間:2022/02/26~2022/02/27
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

-------------------------------
第101回彩の国所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2022/03/02~2022/03/08
場所:くすのきホール (西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

https://tokorozawahuruhon.com/

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フジサワ4階古書フェア (神奈川県)

期間:2022/03/03~2022/03/16
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場

http://www.yurindo.co.jp/store/fujisawa/

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日本の古本屋メールマガジンその340 2022.2.10

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文京区立森鴎外記念館特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」開催中

文京区立森鴎外記念館特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」開催中

文京区立森鴎外記念館 岩佐春奈(司書)

 文京区立森鴎外記念館は、森鴎外生誕150年にあたる2012(平成24)年に前身・文京区立鴎外記念本郷図書館より建物を改めて開館し、今年開館10年を迎えます。当館が顕彰している森鴎外は、明治大正に活躍した作家です。『舞姫』『最後の一句』など、その作品は教科書にも掲載されています。鴎外は、1862(文久2)年、現在の島根県津和野町に生まれ、1881(明治14)年、東京大学医学部を卒業、陸軍軍医となり1916(大正5)年まで勤めます。翌年、帝室博物館総長兼図書頭となり在職のまま、1922(大正11)年、60歳で亡くなりました。今年生誕160年没後100年を迎えました。 記念年を機に、より多くの皆さまに鴎外に親しんで頂きたく大規模な展示や講演会等の開催を予定しています。1つ目の特別展は「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」と題して開催中です。2022年、鴎外を様々な側面から紹介していくにあたって、写真をとおして鴎外の顔を覚えていただき、興味を持っていただきたいと考えました。

 展示のために、写真や顔について語った鴎外の言葉をまず確認しました。鴎外の写真はたくさん残っていますが、鴎外の弟・潤三郎によると実は写真が嫌いでした。確かに、私的な写真は多くありません。また、鴎外の自伝的小説『ヰタ・セクスアリス』(1909年)からは、鴎外は若い頃、生まれつきの顔に満足していなかったことがわかります。東京大学医学部では、年上の同級生に囲まれ、体格が劣った自分に歯がゆい思いをしたことが想像できます。一方、発表当時の森家とよく似た家族を書いた小説『半日』(1909年)では、主人公の博士は妻に対して「俺の顔は閲歴が刻み附けた顔で、親に生み附けて貰つた顔とは違ふ」と語ります。

 展示は、「団子坂の家 観潮楼」「為事 鴎外の為したこと」「鴎外の顔 顔かたちとまなざし」の3章で構成いたしました。まず、文京区立森鴎外記念館の建つこの地にあった鴎外の居宅・観潮楼での鴎外や家族の写真が並びます。写真が観潮楼のどこで撮影されたかを示すパネルや、モノクロームの写真をカラー化した写真7枚(AIを利用し人の手で彩色)を並べたパネルを作成、観潮楼と鴎外が身近に感じられます。家庭での鴎外はやはり、穏やかな顔をしています。

 「為事 鴎外の為したこと」では、1872(明治5)年、父と共に津和野から上京した頃から、陸軍軍医、文学、美術の分野ごとに写真の中の鴎外を編年で追っていきます。陸軍軍医としてドイツに留学した鴎外は、衛生制度を学びながらヨーロッパの文学や美術など文化を体験、吸収して1888(明治21)年に帰国します。その翌年から戯曲の翻訳を発表し、陸軍軍医として勤める傍ら生涯執筆をつづけます。それぞれの為事(仕事)先や仲間と写る姿からは、「絶えずごつごつと為事」(『あそび』)を続けた生涯を垣間見ることが出来ます。陸軍軍医として写る鴎外の顔は、いつも緊張感をただよわせ、作家仲間と写る顔には時に笑みが見えます。鴎外もまた、現在の私たちと同じように仕事に励み、執筆にも情熱を注いでいました。

 「鴎外の顔 顔かたちとまなざし」では、人生を刻んだ鴎外の肖像を1872(明治5)年から亡くなるまでの写真40枚でたどります。鴎外は、「人間は親から貰った顔のままではいけない。その顔を自分で作って行って立派なものにしなくてはならない」(小堀杏奴『晩年の父』)と言っていました。並んだ顔から鴎外の閲歴が浮かび上がってきます。

 現在、記念館では、鴎外の等身大パネルを設置し皆様をお出迎えしています。ご来館の際はぜひ鴎外と共に記念撮影をしてください。

 また、記念館エントランスではブックフェアを開催しています。記念館のスタッフが選んだ鴎外作品や鴎外論、鴎外周辺の人物の詩集や随筆集、鴎外作品を現代作家がパスティーシュした小説、森茉莉や星新一など親族の本等々、何でもありの鴎外関連ブックフェアです。常時50冊程度が揃っています。ご来館の際には是非お手に取ってみてください。

 最後に、鴎外記念年の今後の展示予定です。
 
 

◇特別展「読み継がれる鴎外」
会期:4月23日(土)~7月31日(日)
現在活躍中の作家や研究者の方々とともに、いつの時代も読み継がれる作品、見直される業績などを紹介します。

◇コレクション展「鴎外の住まい(仮)」
会期:8月5日(金)~10月16日(日)
10歳で上京した鴎外と森家の東京における住まいを辿るとともに、鴎外が後半生を暮らした自邸・観潮楼(現・当館)の現在までの変遷を紹介します。

◇特別展「鴎外遺産(仮)」
会期:10月22日(土)~2023年1月29日(日)
開館10周年を記念し、その間に収集した新収蔵資料や他館所蔵資料など、鴎外の一級品が観潮楼に集合。鴎外資料を通して、鴎外の人生の諸相を紹介します。

 
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開催情報/特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」
会期:2022年1月9日(日)~4月17日(日)
[会期中の休館日]3月22日(火)
会場:文京区立森鴎外記念館 展示室1、2
開館時間:10時~18時(最終入館は閉館30分前)
観覧料:一般500円(20名以上の団体:400円)
※中学生以下無料、障害者手帳ご提示の方と介護者1名まで無料
※各種割引がございます。詳細は記念館HPをご覧ください。

●展覧会の最新情報は記念館HP等でご確認ください。

〒113-0022 東京都文京区千駄木1-23-4
TEL:03-3824-5511
URL:https://moriogai-kinenkan.jp
Mail:bmk-info@moriogai-kinenkan.jp

 


チラシイメージ


展示会場写真 カロワークス撮影

Copyright (c) 2022 東京都古書籍商業協同組合

挟み込みを「読み」、その本の使われ方を想像してみる(古本の読み方4)

挟み込みを「読み」、その本の使われ方を想像してみる(古本の読み方4)

書物蔵

 

 前回はテキストの余分な部分(「ペリテクスト」という。序文や跋文、あとがき、ルビや奥付)を読んでみた。今回は、テキストですらない余分、英語でいうマージナリア(余白への書き込み的なもの)を読んでみよう。

■マルジナリアを読むと読者のことがわかる?
 テキスト自体を読み込むのも「分析書誌」だけれども、近年はテキスト以外の部分、「書き込み」や「挟み込み」を読む、という読み方も開発されてきた。日本では古本マニアが十年ほど前、「痕跡本」という言葉を広めたが(古沢和宏『痕跡本のすすめ』太田出版、2012)、西洋書誌学では本の使用者による痕跡を「マルジナリア」(余白)と呼ぶ。

 書き込みだけでなく「挟み込み」も同様に読むことができ、古本同人誌『Sumus』7号「特集:古書にコミあり」(2001)は、書き込みと挟み込みを総称して「コミ」としゃれていた。

■こんな本を拾った
 去年だったか一昨年だったか、いつもの神保町古書会館の週末展で、あきつさんが200円で出していたこんなエロ読み物を手に取った。

 ・アメリカOLの性白書 / ヘレン・G.ブラウン 著, 巻歌子 訳. 徳間書店, 1967

 一読すると、1960年代米国の、オフィスレディのsexal lifeについての実話物。この本の著者は今、ウィキペディアで検索すると、ちゃんと実在する女性で、自分の経験や、聞いた話などをいろいろ書いている。そういう意味では、本当の話を書いた日本では珍しい「実話物」になる。それなりに上品な範囲に収まっている実録だ。時あたかも米国では性革命が進行中で、あちらでは女性にも読まれたのだろうけれど、日本語翻訳版は、当時は男性向けだったように思う。テレビ番組『奥様は魔女』(1966-1972)のダーリンのような、ビルヂングに個室の事務室を持つ古典的なビジネスマンを前提にしており、そういった日本的経営にない米国ビジネスシーンに憧れて日本サラリーマンが読んだものだろう。「セックス天国といわれるアメリカのオフィス・レディーたちは、どのようにセックスを享受しているか」などと、煽情的な文句で広告が打たれている(『読売新聞』1967.5.8朝刊)。

■挟み込み
 それはともかく、この本を買ったのは、あるものが挟まっていたからである(末尾画像)。

 それは切符。国鉄の切符が挟まっていたので、買うことにしたのだった。というのも、これは電車の中でサラリーマンがエロ本ないしそういった軟派読み物を確かに読んでいた証拠になるのではないかと思われたからである。

 列車の中で行われる「車中読書」の歴史については、その起源――なんと人力車!――も含めて永嶺重敏『<読書国民>の誕生:明治30年代の活字メディアと読書文化』(日本エディタースクール出版部, 2004)で明らかにされているが、我々が知っている(はずの)ちょっと前のことが、意外と分からない。

■鉄道と軟派読み物
 美少女コミック研究家、稀見理都@kimiritoさんの話では「フランス書院文庫は当時国鉄のキオスクという大きな流通経路を持っていたので、初版はどんな少なくても2万部スタートだったらしい。官能小説、エロマンガが駅内で買えた昭和…」とのことである。「国鉄首都特別扱承認雑誌」なんちゅー番号も発給され雑誌の法定文字として刷り込まれていたようだ。『キヨスク:駅の世相店』(Inax, 1991)掲載の写真を見ると、図書は新書、文庫が主体である。

 昭和元禄華やかなりし頃、私は子どもだったので、電車の中で日本サラリーマンが何を読んでいたのか知らない。稀見さんのように書物の流通からそれを解明するのが本道なれど、せっかくなのでこの挟み込みを分析してみたい。

 画像を少々ツイッターに上げてあるので、そちらを並行して見ていただいたほうがよいだろう。

■書店カバーをテープで留めていた?
 まずは表紙、というか英語でいうジャケット、日本でいうカバーは美人さんの顔が大写しになっている。これは公共の場で読むにはちょっと恥ずかしい、と感じたところ、ちゃんと見返し紙に書店サービスの紙カバーがかけられていた痕跡を発見。セロファンテープの糊の跡である。普通、書店カバーはテープで留めないので、これは家か職場で留めたものだろう。移動先で取り出しても取れないようにしたものか。

 ちなみに「書店カバー」を戦前は「包み紙」と呼んだらしい。愛書家は1983年ごろから「書皮」と、中国語で表紙を意味する言葉を借用して呼んでいる。

 古書目録などで「カバ欠」などという注記がついていることがあるが、これは古書店が同本のカバー付きを見たことがあるというよりも、カバーがついていた痕跡――大抵、見返し紙の日焼け具合がその痕跡となる――を見ているからだろう。

■2つの切符
 これはこの古本を買った最大の理由なのだが、なんと切符が挟み込まれていた。それも2箇所も。これは、本の罫下(下の小口)から見て、何かが挟み込まれているのを発見したから分かったのだった。

 137ページに昭和42年5月13日に新橋駅で発行された「20円2等」の切符がある。ありがたいことに切符の接触面が本文用紙に跡を――改札ハサミの形状も――残しているので、切符を外しても元のとおりに挟むことができる。183ページに同年5月20日に東京駅で発行されたやはり20円切符が挟まっている。

 単純計算すると、7日で46ページを、1日あてだと6ページ半のペースでこの本を読んだことになる。家でじっくり読めば数日で読めるものなので、やはり電車に乗りながら少しづつ読んだものだろうと推測できる。

 読売新聞には5月8日に大きめの広告が出ているし、なにより本の後半部に挟まれた切符が5月13日なので、本の奥付の5月15日発行というのは実態からズレていることが分かる。なお、切符の13日も20日も土曜日なのだが、当時、土曜も出勤日(半ドン:勤務はお昼まで)だったので、やはり出勤と関連してこの切符が挟まれたと考えてよいだろう。

■私の読み――昭和42年の5月上旬のある日
 春うららかなある日、マジメなサラリーマンAは、駅近くの書店で電車に乗る前、この本を買った。新聞広告に出ていて気になっていたからでもある。奥さんや子どもがいるので、マジメな彼は家族の手前、家でこういう本は読まないようにしているのだった。もともと暇つぶしで買ったものなので、車中で少しづつ読む。もちろん適度な恥じらいがある彼は、同乗の乗客に美人大写しの出版社カバーが見られないよう、書店カバーをかけっぱなしにしていたが、ある時、職場にあったセロテープでそれを留めた。カバンから頻繁に出し入れすので、公衆の門前で取れると困るな、と思ったのである。

 と、5月13日のことである。得意先周りで新橋へ行った。今日は半ドンで楽だなぁ、午後はどっかへ遊びに行こうかと思いつつ、帰社する電車でまたこの本を読む。車中いい調子で第7章「出張旅行とセックス」の章を読みふけっていると「次は御茶ノ水*〜」と車内放送が入る。御茶ノ水には勤め先があるのだ。次降りなけりゃ、と、あわてて栞になるものを探したら、ない。そうだ、通勤の定期券で出ればいいじゃんか、と乗る時に買った切符をしおり代わりに挟み込んでいそいそと下車……

 などという推測が立つ。

 なんとこの本は、昭和時代、サラリーマンが電車中で軟派読み物を読んでいた、その瞬間を証明する本だったのである。
 

■読み方――雑学で素材を美味しくする
 今回は切符という古本ならではの挟み込みを読んでみた。読んだ結果は上記の推測となるわけだが、おさらいしておくと。

 イレギュラーな挟み込みを発見する。なぜそれが挟まれているか推測をしてみる。本文(本の内容)から出版社・著者が想定した読者(文学理論で「内包された読者」というそうな)を考えてみる――例えば性別や年代。その他の痕跡(テープの跡)からかつてあったろう付属品――書店カバー――を想定してみる。それらがどのような条件下で生じたのか考えてみる。例えば、当時、セロファンテープは家庭にあまりなかったのでは? 書店カバーは書店がかけるものでテープでは留めないなど。

 昭和時代の常識――定期券があれば切符を出さないで改札を出られる――を一応、知っているなど、出版年前後の生活知識・常識を知っていたので、切符から、車中読書シーンを推測できたわけである。

 雑学知識や問題設定をこちらから投げると、挟み込みもオモシロく読める例である。著者や著作についてオンラインDBなどで調べる合わせ技もよいだろう。ちょうど、こんにゃくや高野豆腐などに味をこちらから足すイメージ。

* 御茶ノ水に想定したのは一例。Aがキセルの常習犯でなく、新橋駅、東京駅という購入駅から正規の目的地までの切符を買っていたという前提で考えた。購入駅から20円区間内ならいずれの駅でもありえる。



書物蔵
本格的古本歴は15年ほど。興味は日本図書館史から近代出版史へ移行し、今は読書史。
共書に『本のリストの本』(創元社、2020)がある。

ツイッター
https://twitter.com/shomotsubugyo (2009年~)

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生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて

生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて

長岡市立中央図書館 井口麻子

 長岡の図書館において三大恩人はと聞かれると、大正7年に互尊文庫を開館し運営資金も含めて寄附した実業家野本恭八郎。空襲で焼失してしまった互尊文庫の復興を願い昭和23年に再建資金を寄附した繊維商内藤伝吉。そして昭和51年から図書館の資料の充実に向けて、数多くの郷土資料を長岡に納めた反町茂雄氏(以下反町)を挙げている。

 反町は新潟県長岡市出身、東京で古書肆弘文荘を営んだ。古典籍を多く扱い古書業界の育成だけでなく、大学、図書館、研究機関の蔵書構築に貢献した。反町が寄附した掛軸・錦絵・古文書などの資料を中心にした反町茂雄文庫は長岡の図書館を構成する大きな核の一つである。

 この数年間、反町を身近に感じていた。事務室のキャビネットに歴代の館長が残した昭和51年頃からの書簡綴は「反町茂雄文庫綴」と背に書かれている。弘文荘特製の便箋に書かれた青いインクの文字から、凛とした上品さと図書館と資料に対する熱意を感じる。この綴を数年来読み続け、反町をよく知った人のような気持ちを抱いていた。故稲川明雄元館長からは、本の持ち方から指導されたことや安い本を買って怒られたといった話を聞いていたが、図書で拝見する写真では丸い眼鏡のにこやかな印象のお顔ばかりだった。

 このたび生誕120年没後30年という記念の年に反町茂雄文庫展を行ったことで改めて、偉大な恩人と向き合った。特に反町の寄贈だと知ってもらいたかった資料が「塵壷」である。長岡藩の家老であった河井継之助の安政6年の西国遊学の旅日記で、この資料は「長岡に在る事が最も望ましい」と反町の書簡に書かれていた。長岡にかつてあった資料が散逸することを防ぎ、長岡に収めたというのはほかの仕事にも通じる反町らしい仕事だと感じている。そして丁寧に外箱を作って長岡市に寄贈された。貴重な資料はふさわしい場所に収まると考えた反町の考えが行動に現れたものであった。

 今回の展示企画は昭和53年に反町が自身の目で選び解説を行った展覧会の再現を軸にしようと最初に思い描いた。昭和53年当時の写真が残っている。羽柴秀吉が佐々成政に宛てた書状を前にして、熱心に解説をしている。当時どのような気持ちで、資料を選んだのだろうか。思いを馳せて会場の冒頭に当時の再現コーナーを配置した。どのような解説を付けても、反町が当時語った言葉は再現できないが、私たちはその並んだ資料から想像をして、それぞれの資料の特徴、貴重さを文字にしていく。秀吉の書状を前にすると、新潟に深いゆかりのない資料をなぜといった疑問がわく。当時の書簡の中には「越後との直接には関係ありませんが、間接的乍ら、豊太閤関係としてあってもよいのではないかと考えて居ります。」と書かれている。

 寄附が始まった当時の長岡の図書館は互尊文庫という、現在は地域図書館になっている図書館のみであった。当時互尊文庫の資料を見た反町は資料面で物足りなさを感じ、長岡の図書館に貴重な資料を持たせることで、図書館の格を上げたいと思っていたのではないだろうか。反町が郷里長岡にいたのは小学校3年生の頃まで、その後は帰郷して読む本が手元になくなると、戦前の互尊文庫を利用していたという。郷土への思いが資料の寄贈につながった。

 展覧会に関連するイベントとして12月12日(日)に「古書肆弘文荘 反町茂雄さんの想い出」と題し、八木書店の八木壮一氏・乾二氏、浅草御蔵前書房の八鍬光晴氏、安土堂書店の八木正自氏の老舗古書店主4人によるオンライン座談会を行った。東京と長岡の会場を結び、反町の薫陶を直接受けた皆さんから思い出を聞くことのできる貴重な時間となった。

 浅草御蔵前書房の八鍬氏はこれからお店をどのようにしたらというときに、渡されたのは『商売繁昌』(三宅菊子/著、阿奈井文彦/著 中央公論社 1976)であった。唯一読むように勧められた本だという。そして弘文荘でつくられた絵はがきをしめし、これらに掲載された貴重な資料を一生に一度でいいから扱いたいと言って、いまだ反町に対するあこがれを語った。

 八木乾二氏からは「入札会の目録を作成するときに、一刷りするごとに持って行って承諾をもらう。」といった手順を踏み、印刷については特に厳しい方だったという思い出を伺った。古書の世界に身を置く方たちの数々のエピソードから古書業界の厳しくストイックな世界を垣間見た。

 今回の展覧会の開催に際して、ご協力いただいた関係者の皆様、諸機関各位に厚く御礼を申し上げたい。

 展覧会全体を通して私たちにできることは、この資料を後世につなぐことと、反町が郷土を思う気持ちに応えられるような図書館であり続けることだと思う。貴重な資料を保存しながらも、「その展観・出品等により社会教育の一端にもなる」と書簡にも書かれているとおり、皆さんにご覧いただける機会を設け恩義に報いることが少しできたと感じている。


60 古書肆弘文荘・反町茂雄と長岡 『反町茂雄文庫目録』第2集(補遺)


「弘文荘待賈古書目」全巻を展示

●生誕120年・没後30年「反町茂雄文庫展」
 ~伝説の古典籍商がふるさと長岡に贈った郷土資料~
 https://youtu.be/X9NAY0G4PnU

●生誕120年・没後30年「反町茂雄文庫展」関連イベント
 オンライン座談会「古書肆弘文荘 反町茂雄さんの想い出」
 https://youtu.be/Kt6joaq65-A

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2022年1月25日号 第339号

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1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2021年総決算報告
                 古本屋ツーリスト 小山力也

2.「商うことと歌うこと 頁をめくる音で息をする」
                    古本屋弐拾dB 藤井基二

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━━━━━━━━━【古本屋ツアーインジャパン】━━━━━━━

1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2021年総決算報告
                 古本屋ツーリスト 小山力也

 2021年という、子供の頃には想像もできなかった遠い未来に、何
とかしぶとく生きている。しかも、新型コロナウィルスがパンデミッ
クを巻き起こしている、さらに想像も出来なかった未来に。まった
く収束の気配を見せぬ新型コロナウィルスのために、マスク着用・
手指消毒・不要不急の外出制限・人間同士の過剰なまでの距離の意
識・ワクチン接種などが日常化してしまい、生活様式は強制的に変
質してしまった。当然不特定のお客さんが来店する古本屋さんも、
消毒のためのアルコールを店頭に常備し、貼紙でマスク着用を促し、
帳場にはビニールシートを張り巡らせ、お店によっては入店制限も
し、また度々発出される緊急事態宣言のために時短営業や臨時休業
を余儀なくされるなど、営業形態の変質を選ばなければならぬ日々
であった。ということは、当然古本を買いに来るお客さんもそれに
巻込まれ、一時期は古本修羅が生きて行くのに決して欠かせぬ馴染
みのお店が臨時休業してしまう、憂き目にも遭うこととなった。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8001

小山力也

2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている
場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・
ジャパン』管理人。「東京古書組合百年史」の『古本屋分布図』担当。
西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚で、大阪「梅田蔦屋書店」
の古書棚で蔵書古本を販売中。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい
古本屋さん』、「日本古書通信」にて『ミステリ懐旧三面鏡』連載中。

http://furuhonya-tour.seesaa.net/

━━━━━━━━━━━━【自著を語る(286)】━━━━━━━━

「商うことと歌うこと 頁をめくる音で息をする」
                   古本屋弐拾dB 藤井基二

昨年の十一月に自分の古本屋の日々を書き連ねた『頁をめくる音で
息をする』(本の雑誌社)が刊行となった。裏表紙にはこう書かれ
ている。「開店時間は23時。尾道の路地に佇む古本屋は、疾走す
る店主が築いた小さな城。深夜の隠れ家から詩と熱情があふれだす。」
担当の編集者さんが考えた宣伝文だ。まともな勤め人になることか
ら逃げた身からすれば「失踪する店主」の間違いではないかと思った。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7999

『頁をめくる音で息をする』 藤井基二 著
B6判並製 208ページ(カラー32ページ含む)
本の雑誌社 定価:1,540円(税込)好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114647.html

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━

「東京古書組合百年史展」 開催

場所 市立小樽文学館 無料展示スペース
日時 2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日)
時間 9時30分~17時(最終入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(1月10日を除く)
12月29日~1月3日、1月11日・12日、2月1日~4日
入場無料

ホームページ
http://otarubungakusha.com/exhibition/2021114096

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『新宿書房往来記』 村山恒夫 著
港の人 定価:2,800円(税別)好評発売中!
https://www.minatonohito.jp/book/401/

生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて
                長岡市立中央図書館 井口麻子
https://www.lib.city.nagaoka.niigata.jp/?page_id=672
※文庫展、各イベントは終了しています

文京区立森鴎外記念館
特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」
会期:2022年1月9日(日)~2022年4月17日(日)
https://moriogai-kinenkan.jp/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

1月~2月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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